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黄色い屋根の博物館
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アカエイ トビエイ目アカエイ科アカエイ属 Hemitrygon akajei


城ヶ島にて父の兄弟たちと (三浦市城ヶ島) 1963
静かな海に顔を出す大きなエイと目が合った。それを「エイ」だと指さして教えてくれたのは伯父だった。それがいつの記憶か判ったのは最近のことだ。一枚の白黒写真が残っており、若い時の父親が中央で釣り糸にテグスを結んでいて、その前には父の弟がしゃがみこんで同じようなことをやっている。自分は伯父に抱かれて海の方を見ている赤ん坊だった。何も書かれていない写真を見て城ヶ島と断じたのは自分の母親で、半世紀以上前の記憶が残っていることを不思議に思いながら、誰が撮ったのだろうかと映っていないもう一人の叔父の名を挙げたりしながら昔話に花が咲いた。


城ヶ島の岩場 (三浦市城ヶ島) 1972
城ヶ島には家族で何度も行った。岩場を渉り歩いていると、父が岩の隙間を指差して妹と二人で覗き込んだ。波打ち際からは離れており、ほとんど動かない水面から下は底の方まで透き通っていた。何匹ものネコザメが海面近くを横切り、海面に向かってウミヘビが身体をくねらせており、底の方には大きなエイが岩礁の上を這うように泳いでいた。


アカエイ (大田区大和大橋) 2022/06/09
橋の上でやけに覗き込んでいる人がいるので何事かと目をやると、うっすら黒く丸いシルエットが見え、程なく長い尻尾が見えた。おそらくはアカエイで体長は1メートル弱ぐらいだろうか。初めは動いているように見えず死んでいるのかとも思ったが、急にマントを翻すと白い腹側を見せながらこちらに頭を向けた。ミズクラゲを除けば、運河の水の中に生き物をはっきりと見たのはこれが初めてだった。


アカエイ (大田区大和大橋) 2022/06/09
生きたエイを見て、底の白い点々が貝殻であることに思い当たった。それまでは崩れた岩かコンクリート片だと思っていた。岸際の窪みは排水溝のようで、雑草群から雨水とともに有機物やミネラル分が運河に注ぎ込む。橋の下にはこの辺りにいるアブラコウモリや野鳥や昆虫たちの落とし物もあるだろう。


アカエイ (大田区大和大橋) 2022/06/09
前方から同僚が二人歩いてきたのでエイを確認してもらった。立ち止まることになったので、ついでにスマホで写真を撮ると一人が「珍しくもないでしょう」と笑った。もちろん彼が言ったのはエイの知識のことで、ここでエイを年がら年中見掛けるといった意味ではない。


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