Yellow Roof 's Museum
ウコンザクラ (ウコン、ウコンノサクラ) バラ目バラ科 Cerasus lannesiana 'Grandiflora'
ウコンザクラの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2024/04/11
桜色ではなく黄色や緑色に咲く桜もある。様々な品種があるが、最もポピュラーなものは緑色のギョイコウ(御衣黄)と黄色のウコンザクラ(鬱金桜)だろう。これはまだ蕾もあるので咲き始めに近く、色彩としては薄い黄緑色か淡黄色である。もっとも、ウコンザクラは咲き始めは黄色いが、やがて白っぽくなり、最後は中心部からピンク色に染まっていくので、見る時期や個体によって様々な発色になる。
ウコンザクラの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2024/04/11
ウコンザクラとギョイコウはオオシマザクラ系のサトザクラで、2010年に大阪市立大学のDNA解析で同種の枝変わりであることが判明している。要するに兄弟姉妹のような形質の違いであり、葉緑素のクロロフィル含有量が多ければ緑色が強く見え、そうでなければ黄色のカロテノイドが強く見える。取りあえずは、緑色が濃い黄桜を御衣黄、黄色が濃い黄桜を鬱金としておこうかと思う。
ウコンザクラの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2024/04/11
咲き始めのものは緑色よりは黄色に近い黄緑色だが、微妙なところである。縦縞もあったり無かったり、花弁によって違いがある。ネット上の写真では、濃い緑色で明確な縦縞のギョイコウもあるが、ウコンも色合いや模様は様々である。
ウコンザクラの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2024/04/11
元々はウコンザクラでなくギョイコウとして植えられたものかもしれないが、ここではともかく2本の黄桜を見つけた。かつて黄桜を見たのは中学生の頃で、白根不動の緑色の黄桜を見てからそろそろ半世紀になる。
ウコンザクラの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2024/04/12
ウコンかギョイコウの別はクロロフィル含有量の問題、つまりは色による区別なので、もう少し緑に近いものを見つけたらギョイコウの方に仕分けするつもりである。
ウコンザクラの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2024/04/12
ウコンザクラは日が経つにつれてクロロフィルが葉の方に移動して、花弁が段々と白くなっていき、同時に分散して合成されていたアントシアニンが花の中央に引き寄せられて赤色に染まっていく。アントシアニンは花に昆虫を誘うための色素の1つであり、酸化防止の役割なども果たす。赤色になるのは液胞の酸化の影響である。中性だと紫色になり、アルカリ性だと青色になる。
ウコンザクラの花 (帷子川遊歩道) 2024/04/13
帷子川の中流から上流にかけて1本あるはずの黄桜をようやく見つけた。鮮やかな桜色に気を取られていれば、花が散ってしまったかのように見えて気づきにくいかもしれない。
ウコンザクラの花 (帷子川遊歩道) 2024/04/13
清水崑や小島功のかっぱのCMで知られる京都伏見の黄桜株式会社では、平成6年1月12日から期間限定で「特選 花きざくら」を全国発売している。ウコンザクラの花酵母を使用した「華やかな香りの純米醸造酒」で、開花後2~3日の数百個の花から酵母を採取するそうである。
ウコンザクラの花 (帷子川遊歩道) 2024/04/13
さいわいふるさと公園のウコンよりは黄色味が強く見える。日当たりの関係かもしれないが、緑色の筋が入った花はやや少ない。
ウコンザクラの花 (帷子川遊歩道) 2024/04/13
行きも帰りも桜見物に出歩く人が多かったが、黄色い桜は誰の目も惹かない。川崎の2本の黄桜は自分で気付いたが、帷子川の1本の黄桜には今年初めて気が付いた。それも、他人のブログで場所の見当が付いたからである。
ウコンザクラの花 (帷子川遊歩道) 2024/04/13
帷子川の中流から上流にかけて咲いていた桜のうち、この一本だけが黄桜である。以前見た個人ブログにもこの木があるが、並びの緑色が濃いもう1本は伐採されていた。おそらくここ2~3年で、交差点に近いキリの木と共に伐採したのではなかろうか。冬の伐採時期には花の色など判らない。判っていたところで信号や対向車や通行人の見やすさ、それに落枝の可能性や樹勢の判断の方が優先するものだ。
ウコンザクラの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2024/04/15
ウコンザクラの中心部から赤い色が広がってきている。
ウコンザクラの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2024/04/16
ウコンザクラも白や赤みが増してくると他の桜と区別しにくくなる。緑や黄色が強いのは咲き始めだけである。
ウコンザクラの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2024/04/16
毎年ソメイヨシノにまっしぐらでは、ウコンやギョイコウを見逃すばかりか、同じ季節の様々な花を見過ごすことになる。花季が短い植物は桜ばかりではない。そうと知ったのはここ2年のことである。
ウコンザクラの木 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2024/04/18
ウコンザクラの2本はいずれも樹高7~8メートルほどである。咲き始めを見つけてから一週間ほどでピンク色に染まり葉も増えてきて、遠目には花を散らしたソメイヨシノとあまり区別がつかない。
ウコンザクラの花後 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2024/04/22
八重桜の実はまだ見たことがなく、ウコンザクラの実を検索しても出てこない。
ウコンザクラの蕾 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2025/03/27
近づけば、花はなくとも花芽がある。花芽がなくとも葉芽があり、樹皮がある。違う色や形が見え、別の薫りが立ち昇り、触れれば感触が返ってくる。もう少し時が経てば、ウコンザクラの冬芽に花と葉が詰め込まれていたことも見えてくる。
ウコンザクラの蕾 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2025/03/31
ウコンザクラの蕾はオオシマザクラの蕾とそっくり同じである。
ウコンザクラの蕾 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2025/03/31
ウコンザクラの冬芽には葉と蕾が収められており、初めは鱗片が割れて緑色の葉が見えるが、花柄が伸びてくると蕾は桃色をしている。
ウコンザクラの蕾 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2025/04/04
ようやくウコンザクラらしい黄色い蕾が確認できてきた。築山の麓から何本目の桜か憶えておかないと、花がなければオオシマザクラとほとんど区別がつかない。
ウコンザクラの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2025/04/08
ウコンザクラとギョイコウの違いは、主に花の色彩の違いだが、花弁が厚く硬く、花弁が外側に反り返るのがギョイコウとする説もある。
ウコンザクラの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2025/04/08
ここではウコンザクラとしているが、花弁が黄色か緑色かといった違いは、花弁に含まれる葉緑体の量の差である。葉緑体が多いほど気孔も多く養分を運ぶ維管束も発達している。必然的に緑色に近いほうが、厚く構造的にも硬い。
ウコンザクラの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2025/04/08
写真のように、緑色が濃い花弁は厚みがあって反り返ったまま維持されている。一方、黄色い花弁は薄く柔らかいため反り返りが維持できない。しかし、どちらも同じ個体である。
ウコンザクラの花 (帷子川遊歩道) 2025/04/12
帷子川沿いの黄桜は、さいわいふるさと公園のものより花は緑色に近いように見える。しかし、ここのほうが日当たりが良く、葉緑素が役割を果しやすく残りやすいということかもしれない。
ウコンザクラの花 (帷子川遊歩道) 2025/04/12
さいわいふるさと公園のウコンにも緑色の花と黄色い花が入り混じっている。ここは隣に一本ソメイヨシノがあるだけで、三方から陽射しが注ぐ。
ウコンザクラの花 (帷子川遊歩道) 2025/04/12
ここ2年の2箇所での黄桜の観察で自分に明確に判ったことは、緑色が濃いか否かといったことである。花の色は時間の経過とともに同じように変化する。開花時期もさほど違いがあるわけではない。黄色に見えればウコンと捉えたり、緑色に見えればギョイコウの特徴を挙げることはできる。しかし、日照条件によって咲く時期が変わり、黄桜の葉緑素が活性化するかしないかといった捉え方も可能である。
ウコンザクラの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2025/04/14
ウコンザクラの花からは徐々に葉緑素が抜けて白くなり、中央から徐々に赤く染まってきている。しかし、まだ黄緑色の花もある。
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