Yellow Roof 's Museum
2023/03/25
和泉川歩道沿いの防草シート (横浜市泉区和泉川)
いずみ野駅からの和泉川沿いには農地が広がっていて、防草シートあるいは除草シート、防草マットなどと呼ばれるものが延々と敷き詰められていた。防草シートは農地や個人宅の庭や公園でもよく見かけ、樹木の治療に伴う土壌改良にも用いられている。公園や庭などでは景観上、その上に砂利やチップを敷いたり芝やクローバーなどの地被植物を植えたりして見えなくしてもいるようだ。防草シートには耐用年数がありいずれは撤去しなくてはならないが、アスファルトやコンクリート、人工芝や除草剤などよりは土壌の健康を損なうことなく維持ができるそうだ。
防草シートとツクシやホトケノザ (横浜市泉区和泉川)
防草シートは基本的には埋め立てずに土壌を保持しつつ遮光することで雑草の繁茂を防ぐためのものである。むろん敷く前に除草したり整地することが必要になるが、目的や環境によって様々なものが販売されている。ただ、スギナなどのように地下茎を張る植物には別対策が必要になるそうだ。舗装路はまだ真新しく、川沿いなのでいずれ桜並木か花壇にでもするのだろう。
ヤエムグラ (横浜市泉区和泉川)
ヤエムグラにも何種類もあり、2004年に帰化植物として報告されたシラホシムグラという花の付き方以外はそっくりな種類もある。
和泉川 (横浜市泉区和泉川)
防草シートは歩道の花壇などの下地にすることもあり、そうなると歩いていても判らない。近頃は都市部の雑草問題を解決する有効な手段の1つとして取り上げられたりもしている。
カラムシ (横浜市泉区和泉川)
カラムシは茎の皮から繊維を採って糸にしたり縄にしたりしていたそうで、新潟は魚沼地方の越後縮の原料である。
ニオイトサミズキの花 (横浜市泉区役所)
トサミズキの名札が付いたものだが、トサミズキの花はヒュウガミズキよりも花房が長い。けれどもこれは花房がかなり長い。花も多く時期も早く、垂直方向に枝が伸びているので、これはニオイトサミズキ(シナミズキ)だろう。
ナガミヒナゲシの花 (横浜市泉区和泉川)
ナガミヒナゲシの花はよく見かけていたが、民家や会社の花壇だったので写真を撮っていなかった。ただ、時が経つにつれて路傍に雑草のように生えているのを頻繁に見かけるようになってきた。いくぶんか早咲きのものを見ていたのだ。
ケヤキのヤドリギ (横浜市泉区和泉川)
ヤドリギの実を食べた鳥の群れがこのケヤキで羽根を休めたらしい。ヤドリギは半寄生植物と云われ、戦略として地表ではなく樹上を選んだ植物である。成長すれば葉を生じて光合成を行い、エネルギーを自分で賄うようになる。
ケヤキのヤドリギ (横浜市泉区和泉川)
このケヤキの老木は通園路に近い枝や幹が剪定されており、背景の幼稚園にある樹木も低く剪定されている。幼稚園や学校では時折子供や教師が落枝や倒木に遭って重症を負ったり死亡するような事故が起きる。すると、当該地のみではなく全国の公共施設や自治体などで落枝や倒木の可能性調査が行われ、危険と診断された樹木は剪定ないし伐採される。
名木古木指定のケヤキ (横浜市泉区和泉川)
この立札は希望ヶ丘の名木古木指定の立札と同じく横浜市が提供するものである。これは樹勢の診断や手入れに市から助成金が出る樹木であるということで、市が保護しているわけではない。
ケヤキのヤドリギ (横浜市泉区和泉川)
ヤドリギの実には粘りつくような細かな繊維がありトリモチとしても使われる。鳥の身体にぶら下がって遠くに運ばれ、羽根を休めた枝に繊維と一緒に小さな種が絡みついて芽を出す。昔は宿主を枯らすと見做されていたが、最近の研究ではヤドリギは宿主の成長を少し阻害する程度で、生物多様性の見地からは周囲に豊かな環境をもたらすものともされている。
ソメイヨシノ (横浜市泉区和泉川)
ソメイヨシノはこのように下の方が横に広がる樹形が自然であり、大木ほど広い土地が必要になる。歩道沿いや住宅地では横に張り出す枝は通行の便のために剪定されるが、老齢になるほど根から樹上まで水を運ぶ力が弱まるので根に近い枝からバケツリレーのように樹冠へと繋ぐ仕組みが必要になる。都市部の桜が病気に罹りやすく寿命が短いのは環境問題もあるが、低い枝を剪定してしまうことも要因の一つだろう。
ソメイヨシノ (横浜市泉区和泉川)
この3本のソメイヨシノの大木の保全にはそれなりに管理も必要だろうが、それなりの敷地も必要になる。桜の名所と云われるところでは年間の管理維持費が千万単位だったりする。労務費や維持費を考えれば当たり前で、美観を保つために税金が使われるところもあれば、毎年資金集めにボランティアが奔走しているところもある。
ソメイヨシノ (横浜市泉区和泉川)
ソメイヨシノは写真のように花柄に毛があり、萼の下方が膨らんでいるのが特徴である。染井吉野はオオシマザクラとエドヒガンとの交配種で接ぎ木や挿し木によって増殖されるクローンである。果実が付いていればそれは染井吉野ではなく雑種ということになる。桜のクローンは染井吉野ばかりではない。雑種も数多く情報も錯綜している。
ソメイヨシノ (横浜市泉区和泉川)
森林総合研究所の2023年のプレリリース
【国内初!遺伝子情報を利用したサクラ栽培品種の網羅的識別技術を開発】に、別品種とされていたものが同一クローンだったといった成果がごく簡単に纏められ、日本にある桜の野生種は、ヤマザクラ、カスミザクラ、オオシマザクラ、オオヤマザクラ、エドヒガン、マメザクラ、チョウジザクラ、ミヤマザクラ、タカネザクラ、カンヒザクラの10種としている。
ソメイヨシノ (横浜市泉区和泉川)
この桜の木は長く伸びた枝がぴんと張っている。下生えの植物は低く除草されており、ところどころに地面が見える。むろん桜がそうしたのではなく、人が手入れをして桜に水や養分を十分に行き渡らせたり、風通しをよくしたりしている。
ソメイヨシノとフキノトウ (横浜市泉区和泉川)
ソメイヨシノの根元から4~5メートル離れたところにはフキの群落がある。ほぼ綿毛を付けた果実の状態である。フキノトウを追うあまりに綿毛の方は接写し忘れた。桜の花も同じで1年のほとんどの姿を見逃してしまっていた。
ソメイヨシノの幹 (横浜市泉区和泉川)
根元の樹皮には横縞がはっきり残っており老木ではない。老木ともなるとこの横縞も失われてごつごつした岩のようになる。多少縦に裂け目が出てきてはいるものの壮年というところではなかろうか。
ソメイヨシノとフキノトウ (横浜市泉区和泉川)
いつものように見るということはいつものようにしか見ないということである。葉に着目すれば蕾は見過ごし、花しか見なければ果実は見逃してしまう。小さな昆虫などには気づきもしない。脳内イメージは一点に固着しており写真のように見直して新たに気づくことは稀で、やがてパターン化して先入観となる。腰を落として顔を近づかなければ気づかないことは無数にある。葉の下に花や実を付ける植物もあれば、今まで見えなかった小さな世界もある。世界は平面ではなく立体で、植物も立体である。なおかつ経年変化する。近づいたり見上げたり見下ろさないと捉えられない特徴もあるが、それらは時々刻々と変化していく。
ハナモモの花 (横浜市泉区和泉川)
ハナモモの品種によって自然樹形に違いがあり、立ち性、枝垂れ性、箒立ち性があって「お庭のスペースに合わせて選べます」と書かれた通販サイトがある。平和の森公園で自分がよく見ている2本のハナモモは左から2番目と右端の木と似たような色と樹形である。
和泉川のシャクチリソバとアオサギ (横浜市泉区和泉川)
遠目なのでよく見えなかったが、左下の葉はソバ属のものでソバかシャクチリソバではなかろうか。帷子川にも群生しているのだから和泉川で群生していてもおかしくはない。
和泉川のアオサギ (横浜市泉区和泉川)
アオサギの足元は帷子川でも見られるオランダガラシだろう。
和泉川のアオサギ (横浜市泉区和泉川)
アオサギは全国に4万羽ほど生息しているという調査結果を何年か前に見たことがある。よく見かける鳥だが、そう思っているだけでは翼の先は白いのか黒いのか、嘴が何色か問われても答えられない。調べれば判るというのは自分は知らないということである。たくさん写真を撮っても細部まで思い出せるものは少なく名前もろくに思い出せないものも多い。いつになれば知っているということになるのか見当もつかない。
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